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出口王仁三郎芸術館

大宮司朗先生インタビュー

 

言語の背後に秘められた霊的世界と太古心性の継承過程を検証!


言霊信仰


豊田国夫=著
定価 12,000円+税
A5判上製 クロス装 函入
文部省学術助成研究 

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吾は悪言も一言、善事も一言
言い離つ神、葛城の一言主の大神ぞ


「言霊の幸ふ国」「言霊の扶る国」というように、日本思想の根幹としての神道を理解するには、「言霊」ということの理解が必須の課題である。しかし、現今にいたるまで「言霊」に関して学術的立場より真正面から研究した著作は皆無であった。
 総頁800ページにおよぶ本書は、はるか古代に遡行してわが国における言霊信仰の源流を求め、そこから説き起こして現代にいたるまでの、「言霊」を中核とした信仰・思想・思惟・観念の歴史的展開の諸層を系統的に追求した唯一の研究書であり、文部省学術奨励研究費の助成の下に、約10年の歳月を掛けて大成された言霊研究史上唯一の通史である。
 著者はまず、コトタマという言葉の語義と用法を、コトとタマの両面から詳細に分析、神代においては、言葉と事柄は、ともに「コト」として一致するものとして観念されたことを明らかにしつつ、これを「言事即融」という概念で整理し、言霊信仰の主要原理として位置づけ、言霊神(興台産霊神/一言主神/八意思兼神/八重言代主神/太詔戸命)、ミコトモチ論、古代の生活習俗としての言霊信仰の種々相に説き及び(第1〜3章)、太古的言霊信仰の蘇生という観点に立って柿本人麿、山上憶良出現を促した万葉時代の背景を論じて、敷島の道たる和歌が「言霊の住処」として定着していく事情を検証する(第4〜5章)。一方で著者は、古代より連綿と伝わる祝詞の言辞に説き及び、そこに見いだされる言霊信仰および用語の言霊的属性と人名における諱名、諡名の問題から、古代の人名とそのタブーというテーマに及ぶ(第7章)。また仏教におけるマントラ、ダラニ信仰、念仏などにも言霊論の立場より光を当て、いわゆる巫覡の業としての祈祷、呪文、神託、口寄せなどを言霊信仰の発現として取り上げる(第9章)など日本民族の心性に活き続ける言霊信仰の位相を明らかにする。
 また、近世国学における言霊思想として平田篤胤、富士谷茂章・御杖、鈴木重胤、橘守部、堀秀成から中村孝道、大石凝真素美にいたるいわゆる「言霊学」の諸系統についてもその流れを詳述し(第10章)、さらに明治以降の言語学、宗教学、民俗学などにおける言霊論とその研究史にも言及、現代社会における言語の形骸化とバベル的混乱を指摘した上で、言霊復権による言事相称の言語的ユートピアへのビジョンを示唆する(第11〜12章)。
 以上のごとく、本書はおよそ「言霊」に関しては博引傍証、論じて余すところがない。とりわけきわめて広範囲の資料を提出、さまざまな見解を並記しつつ、論述を進めていることは、本書の文献的価値を著しく高め、巻末の索引とあいまって「言霊事典」としての機能を持つように配慮されている。
 まさに本書は、神道や言霊に関心を持つ者ならば、必ず書架に備えねばならない基本資料といえよう。また、もちろん、国文学・国語学・宗教学・民俗学・思想史等を専攻の研究者・学徒諸兄においては必読の書なることは言うを待たない。