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天空の地図

木村鷹太郎『星座とその神話』復刻に寄せて

戸高一成


全天を覆う雄大な星辰の輝きは、暦学、天文学を生み、数学を生んだ。その科学の根源であった星々は、いつのころからか神話を題材とした星座にまとめられ、いくつかの星には固有名さえつけられるようになったのである。今日、天文学、宇宙科学の最先端の場面においても、「オリオン座のアルファ、牡牛座のベータ」などと表現されている。
しかし、今日にいたるも、全天八十八の星座が表す形態の必然性に関して問題意識をもった人物はほとんどいない。おおかたの学者は「古代人が、天空の星を適当につないで星座を作った」として、「なぜその形である必要があったか」を問わないのである。
しかし、冷静に星座の形態を観察するとき、そこには理解しがたい矛盾が溢れていることに気づかなければならない。
第一にその形の不自然さである。牡牛、ペガサスはなぜ下半身が無いのか。ヘラクレス、ケフェウスはなぜ転倒しているのか。星の無い空間まで詳細に書かれた星座図は何を意味するのか。また、星座の形は、必ずしも付近の目だつ星を中心に作られているわけでもない。
第二に、星の名前の不自然さである。星座図を見ると、必ずしも大きな星ばかり名前がついているわけではない。また、その語源が必ずしも明快ではない。
これらの疑問に唯一明快な解答を与えたのが、本書『星座とその神話』なのである。

著者・木村鷹太郎は、自ら「新史学」と名づけた驚異の歴史学をうち立て、明治から昭和初期にかけて、日本歴史学界の異端児として一部の信奉者の支持を受けていたが、世に受け入れられることなく、昭和七年にこの世を去った。
木村については、八幡書店で復刻した「日本太古史」(品切)の解説で筆者が小伝を加えているので、ここでは省くが、木村の日本史に対する基本概念は、日本民族ギリシャ渡来説に集約される。しかし、木村の新史学は、単なる一つの学説に終わらないのである。新史学の奥行きは無限に深く、その奥には、人類史を全て書き換えずにはおかないエネルギーが秘められているのである。
その大まかな構想は、中央アフリカに生まれた文明が、エジプト、中東を経て、ギリシャ、インドに拡散し、世界に広がったとする。そして、その多くの伝承が、諸国の神話伝承に保存されている、というものである。
これだけならば、さして奇矯とは思えないが、木村の新史学は、「これら世界の歴史は全て日本の古文献の中に残されている」、言うなれば、世界の古代史は日本の古代史である、というのである。
この研究の中で、木村がもっとも力をいれた分野に「神話地理学」があるが、これは神話の多くを地理神話として読み込むことによって、神話の「本原地」を明らかにしていったものである。
すなわち、木村は「高天原とは小亜細亜のアルメニヤであり、スカンジナヴィヤの『エッダ』の所謂アスガルドの神国も亦此地である。そして二神が天降り玉うた地は今のバルキスタンで、其地のマクランが古典に所謂淤能碁呂島である。希臘神話の人間の祖と云はれて居るデューカリオーンの船の地も実は此地である(希臘ではない)。此男女二神は此地で『国生み』『神生み』なるものを為し給うた。其国生みなるものは国土の経営を謂ひ、神生みとは其等国土の経営者を定め玉うたものと解せられる。今、新研究に拠って其等の国土を研究すると、亜細亜西部一帯、亜拉比亜、阿弗利加、欧羅巴全部に亘るもので、其等の地名は極めて明確に古典に記してあり、太古に知られて居た丈けの凡ての世界を包含したもので、其等は凡て高天原の神政統治の下に在ったのである。然らば、日本古典に拠ると、全世界は高天原神国の開拓統治に属するものと謂はねばならぬ」(『日本民族祖先の雄図』大正六年)
との論を展開していったのである。この研究の一環として完成した本書『星座とその神話』は、木村の研究の中でも高く位置づけられるものであり、今後更に研究の必要の有るテーマであろう。
ここで木村は、星座は、その星座が示す神話テーマの舞台となった国あるいは地方の「地図を天に上げたものであり、星の名は、地図上の古代都市の名に当っているのである」との結論を出したのである。これを理解することによって、初めて、先に記した多くの星座図に見られる形態の矛盾が氷解するのであり、また、逆に星座図上の星の名から「現在忘れ去られている古代都市の概略の位置を推定する」ことさえ可能なのである。
本書はまさに新史学の秘鍵の一つであり、この秘鍵は、他の多くの封印された歴史の扉を開く鍵ともなるものなのである。
ちなみに本書原本は大正十二年七月十五日発行、紺クロスにガニメデス星座を空押しした瀟洒な装丁の本であった。しかし、不運にも出版直後に関東大震災に遭い、紙型、在庫ともにほとんどが消滅してしまったために、木村の著作の中でも数の少ないものである。木村は生前特に本書の再刊を希望していたが、遂に果たされなかった。また、新史学を志す後進の国松文雄氏に、「古代人は星を見ながら世界を航海したのだよ。それは星座が世界地図だったからだよ」と語っている。まさに本書は世界の地理学史、航海術史、文明移動史を覆すものなのである。
今回、八幡書店の努力によって、本書が再び日の目を見ることができたことは、真に喜ばしいことといわねばならない。