題名どおり、神職にとって必要な知識を神体、神社建築、調度品、祭器、楽器、祭儀、修祓、神饌、祝詞、祭服、作法という観点から詳述。こういう本はありそうでなかなかないもので貴重。
特に「祭典」編には、標準的な神前作法が詳細に記されているので、一家、一門を構えようという志のある方は必備の1冊である。説明はかゆいところにまで手が届いている。人間であるからいかに祭儀を厳修しようと努力しても間違いは起こりえる。たとえば祭典中に誤って勺を落としたときはどうするか。神社神道、教派神道それぞれに祭式の教則本はあるが、こういう場合の対処法までは書いてない。本書は「誤て笏を落しゝ時物を持ば之を下に置き笏を取て揖し再び物を取て揖して立つべきなり」と明快に指導する。こういうところが本書の偉いところで、いまでも気のきいたプロの神職は、本書を座右に置きまさに宝鑑としているのである。また、木版極彩色図版が豊富に収録され、見るだけでも目の保養になる。